SGLT2阻害薬とは?体重減少効果の仕組みと注意点を解説

SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の治療薬として開発・承認された薬剤です。その作用メカニズムにより体重減少が認められることが報告されており、医師の判断により体重管理を目的とした治療に使用されることがあります。

この記事では、SGLT2阻害薬の作用メカニズムから期待できる効果、注意すべき副作用まで、安全に使用するために知っておきたい情報を詳しく解説します。

※体重減少を目的とした使用は適応外使用となります。使用にあたっては医師による適切な診断と指導が必要です。

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SGLT2阻害薬とは尿中への糖排出を促進する2型糖尿病治療薬

(編集部作成)

SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の治療薬として開発された医薬品です。作用メカニズムにより体重減少が認められることが報告されており、医師の判断により体重管理を目的とした治療に使用されることがあります。

服用開始から数日で尿糖排泄効果が現れますが、目に見える体重減少効果を実感するまでには通常1〜3ヶ月程度の継続が必要です。継続して使用することで効果は日々増強され、1年間で平均2〜3kgの体重減少が期待できます。

薬の種類効果発現時期
SGLT2阻害薬効果は日々増強、1年で平均2〜3kg減少
GLP-1受容体作動薬20〜56週間で3〜7%の体重減少

食欲抑制効果を持つ「GLP-1受容体作動薬」とは作用が異なるため、併用することで、摂取カロリーの抑制と消費カロリーの促進という両面からのアプローチが可能となります。

SGLT2阻害薬の作用機序2つ

SGLT2阻害薬は、その独自の作用メカニズムにより血糖コントロールに寄与するだけでなく、エネルギー代謝にも影響を与え、結果として体重減少が見られることがあります。ここでは、その2つの主要な作用機序について解説します。

作用機序1|腎臓での糖再吸収阻害による糖排出

SGLT2阻害薬の最も中心的な作用は、腎臓における糖の再吸収を抑制することです。私たちの腎臓では、血液がろ過される過程で糖分も一度排出されますが、そのほとんど(約90%)は近位尿細管という部分に存在する「SGLT2」の働きによって、再び血液中に取り込まれます。

SGLT2阻害薬は、このSGLT2の働きを選択的にブロックすることで、近位尿細管での糖の再吸収が行われなくなり結果、尿とともに体外へ排出されます。この作用によって、1日あたり約200キロカロリーから400キロカロリーに相当する糖が体外へ排出されると報告されています。

このメカニズムが、血糖値に依存しない血糖降下作用の根幹をなしており、体重減少はそれに付随して生じる副次的な変化と位置づけられています。

作用機序2|エネルギー代謝への影響

尿中への糖排出によって体内で利用できる糖質が減少すると、私たちの身体はエネルギー源を補うために脂肪の利用を促進し、分解を進めるようになります。この代謝の変化が、治療過程で内臓脂肪や皮下脂肪の減少につながることがあります。

しかしこの代謝変化は、「ケトン体」という物質を産生しやすくなるため、過度な糖質制限や体調不良、食事摂取量の低下などが重なると、ケトン体が体内に蓄積して血液が酸性になる「ケトアシドーシス」という重篤な副作用が生じるリスクが高まります。

したがって、この薬剤の使用には医師による適切な診察と慎重な経過観察が必要となります。

SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬との違いを解説

ここでは、SGLT2阻害薬とGLP-1受容体作動薬との違いを表にして解説します。

項目SGLT2阻害薬GLP-1受容体作動薬
作用機序腎臓で糖分を体に戻す働きを邪魔して、余分な糖分を尿と一緒に体外へ排出。血糖値が高い時だけインスリンを分泌させ、脳の満腹中枢に働いて食欲を抑え、胃の動きを遅くする。
主な効果糖の排出を促す事で血糖値をコントロールする。
血流・血圧を安定化させる事で心臓及び腎臓を保護する。その作用機序により低血糖が起こり難いという特徴がある。
血糖値を安定化する。
食欲抑制効果。
服用方法1日1回の内服薬1日1回または週1回の注射
主な薬剤名フォシーガ、ジャディアンス、スーグラ、デベルザ、ルセフィサクセンダ、ビクトーザ、ウゴービ、オゼンピック、トルリシティ、バイエッタ、マンジャロ

SGLT2阻害薬は、尿中への糖排出により、GLP-1受容体作動薬は食欲抑制作用により、それぞれ異なる機序で血糖管理を行います。

両薬剤とも2型糖尿病の治療薬として承認されており、治療過程で体重減少が認められることが報告されています。どちらも使用にあたっては医師による適切な診断と継続的な管理が必要です。

※体重減少を主目的とした使用は適応外使用となります。

※効果や副作用には個人差があります。

SGLT2阻害薬を服用する際の注意点3つ

SGLT2阻害薬は、適切に使用すれば体重減少や血糖改善に有効な薬剤ですが、その作用機序に由来するいくつかの注意点があります。ここでは、安全に治療を続けるために知っておきたい注意点を3つ紹介します。

注意点1|脱水に注意し、十分な水分補給を心がける

SGLT2阻害薬は、尿中に糖を排出する際に水分も伴う利尿作用を持っています。そのため、年齢や体調、基礎疾患、環境等の要因によっては脱水症状が生じる可能性がありますので、のどの渇き、めまい、立ちくらみ等の症状が生じないように十分注意してください。

普段から、1日に1.5リットル〜2リットルを目安に、こまめに水分を摂取するよう心がけてください。特に、夏場や運動時など汗を多くかく場面では、より意識的な水分補給が必要です。

また、発熱、下痢、嘔吐、食欲不振などで食事が十分に摂れない体調不良時には、脱水や次に述べるケトアシドーシス※等のリスクが生じる可能性があります。このような場合、症状によっては薬の使用を中止する事が必要となりますので自己判断せず、体調不良・その他気になる症状が生じた際は速やかに医療機関に相談する事が大切です。

注意点2|尿路・性器感染症のリスクがあるため、清潔を保つ

尿の中に糖分が多く含まれる状態が続くため、細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎などの「尿路感染症」や、カンジダ等の常在菌による「性器感染症」のリスクが高まります。特に女性や高齢者の方は注意が必要です。

これらの感染症を予防するためには、陰部を清潔に保つことが非常に重要です。排尿後や入浴時には、優しく洗浄することを心がけましょう。また、排尿を我慢しないことも大切です。もし、排尿時の痛み、頻尿、残尿感、陰部のかゆみやおりものの異常といった症状が現れた場合は、すぐに医師に相談してください。

注意点3|低血糖やケトアシドーシスなど重篤な副作用に注意する

SGLT2阻害薬は、単独使用では低血糖を起こしにくい薬ですが、インスリン製剤やSU薬(スルホニル尿素薬)といった他の血糖降下薬と併用する場合、血糖値が下がり過ぎる事によって生じる低血糖のリスクが高まります。併用している方は、冷や汗や動悸、手足の震えといった低血糖の初期症状に注意してください。

また、まれですが重篤な副作用として「ケトアシドーシス※」があります。これは、体内の糖が不足することで脂肪が過剰に分解され、血液が酸性に傾いてしまう危険な状態です。SGLT2阻害薬によるケトアシドーシスは、血糖値がそれほど高くない状態でも起こり得るのが特徴です。強い倦怠感、吐き気、嘔吐、腹痛、深く速い呼吸といった症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診する必要があります。

これらの注意点を守り、定期的な診察や検査を受けることで、SGLT2阻害薬をより安全に服用することができます。

※糖尿病の急性合併症の一つ。

SGLT2阻害薬について

SGLT2阻害薬は、2型糖尿病の治療を目的として開発された医薬品であり、腎臓での糖の再吸収を阻害することで血糖値をコントロールします。治療過程で体重減少が認められることが報告されていますが、これは本来の治療効果に付随する作用であり体重減少を目的とした使用は適応外使用となります。

SGLT2阻害薬の副作用としましては尿路及び性器感染症、稀に脱水症状やケトアシドーシス等が挙げられますが、他の血糖効果薬との併用時には低血糖となるリスクが高まるため、その場合は十分な注意が必要となります。

SGLT2阻害薬の使用を検討される場合は、糖尿病専門医をはじめとする適切な医療機関において、患者さま一人ひとりの病状や体質を十分に評価した上で、慎重に判断されることが重要です。自己判断での使用は避け、必ず医師の指導のもとで適正に使用してください。

※当クリニックではSGLT2阻害薬の処方は行っておりません。糖尿病治療や及びそれに関連する内容のご相談に関しましては糖尿病治療専門の医療機関の受診をお願いいたします。

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参考文献:

監修者:SDHクリニック