AGA治療で起こる初期脱毛とは? 抜け毛が増えるメカニズムや最小限に抑える方法を解説
AGA治療を開始すると、多くの方が「初期脱毛」という現象を経験します。一時的に抜け毛が増えてしまうため、「治療が逆効果なのでは?」「このまま薄毛が進行してしまうのでは?」と不安を感じる方も少なくありません。しかし初期脱毛は、治療薬が毛髪のサイクルに働きかけ、効果を発揮し始めている証拠とも言える現象です。
本記事では、AGA治療における初期脱毛のメカニズムから対策法、さらに初期脱毛を最小限に抑えたい方におすすめの治療薬まで、詳しく解説していきます。
AGA治療の初期脱毛とは
AGA治療を開始した際に、一時的に抜け毛の量が増加することがあります。これを「初期脱毛」と呼びます。治療を始めたのに抜け毛が増えると不安に感じるかもしれませんが、これは治療が効果を発揮し始めている兆候であり、多くの場合、過度に心配する必要はありません。
初期脱毛は、一般的にAGA治療薬の使用を開始してから数週間から1ヶ月程度の期間で現れ始め、通常1ヶ月から3ヶ月程度で自然に治まります。
参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」
AGA治療で初期脱毛が発生するメカニズム

髪の毛には成長期、退行期、休止期というサイクルがあります。
ミノキシジルなどのAGA治療薬は休止期の髪を成長期へと移行させるため、休止期にあった髪が一斉に抜け落ちることで、初期脱毛が起こるのです。
つまり、初期脱毛は新しい髪の毛が生えてくるための準備段階であり、毛髪が生まれ変わる過程で起こる自然な現象と言えます。
初期脱毛と通常の抜け毛の違い
AGA治療に伴う初期脱毛と私たちが日常的に経験する通常の抜け毛には、いくつかの明確な違いがあります。主な違いは以下のとおりです。
初期脱毛 | 通常の抜け毛 | |
---|---|---|
発生時期 | AGA治療開始後、数週間~1ヶ月程度で現れ始めることが多い | 日常的に起こる生理現象 |
抜け毛の量 | 一時的に明らかに増えたと感じるほど、まとまって抜けることがある | 1日に50本~100本程度であれば生理的範囲内 |
抜ける毛の質 | AGAの影響で細く短い毛、弱々しい毛が多い傾向がある | 健康なサイクルで抜ける毛は、ある程度の太さや長さがある毛(AGA進行中は細い毛も含む) |
期間 | 通常1ヶ月~3ヶ月程度で治まる一時的な現象 | 日常的に継続する(AGAが進行している場合は抜け毛が続く) |
初期脱毛はAGA治療の開始に伴って一時的に起こるもので、治療薬が毛髪のサイクルに作用している証拠とも言えます。一方で、通常の抜け毛は治療とは関係なく日々起こる生理的な現象です。
初期脱毛では一時的に抜け毛の量が顕著に増えることがありますが、これは新しい健康な髪への生え変わりを促す過程であり、一定期間で落ち着くのが特徴です。そのため、抜ける毛の状態や、その後の毛髪の成長にも違いが見られます。
AGA初期脱毛はいつまで続く?ピークと終了時期の目安
初期脱毛が現れ始める時期は、AGA治療薬の使用を開始してからおおよそ数週間から1ヶ月程度が一般的です。個人差はありますが、この頃から抜け毛の増加を実感する方が多いようです。
そして、初期脱毛がピークを迎えるのは、多くの場合、治療開始後1ヶ月から2ヶ月程度の期間です。この時期に抜け毛の量が最も多く感じられるでしょう。その後、初期脱毛は徐々に落ち着き、一般的には治療開始後1ヶ月から長くとも3ヶ月程度で終了すると言われています。
ただし、これらの期間はあくまで一般的な目安であり、症状の現れ方や期間には大きな個人差があります。使用する治療薬の種類や量、その方のAGAの進行度、体質、さらには睡眠や食事といった生活習慣によっても変動することがあります。
もし、初期脱毛が3ヶ月以上続く場合や、抜け毛の量が異常に多いと感じるなど、ご自身で判断に迷う場合や強い不安を感じる場合は、自己判断で治療を中断したりせず、速やかに治療を受けているクリニックの担当医師に相談することが非常に重要です。
AGA治療による初期脱毛がひどい場合の対策法
AGA治療を開始した後に起こる初期脱毛は、治療が効果を発揮している証拠とも言えますが、その量が多いと「ひどい」と感じ、不安になる方もいらっしゃるでしょう。ここでは、初期脱毛がひどい場合に試みることができる対策法を3つ紹介します。
対策1|生活習慣を見直す(睡眠・食事・ストレス管理)
髪の健康は、全身の健康状態と密接に関連しています。初期脱毛の期間を少しでも穏やかに過ごし、その後の健やかな毛髪の成長をサポートするためにも、生活習慣の見直しは有効な対策の一つです。
質の高い睡眠 | 睡眠中には成長ホルモンが多く分泌され、これが毛母細胞の分裂を促し、髪の成長に繋がります。毎日同じ時間に就寝・起床するなど規則正しい生活を送り、十分な睡眠時間を確保することが大切です。寝る前のスマホの使用を控える、カフェインの摂取を避けるなども質の高い睡眠に繋がります。 |
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バランスの取れた食事 | 髪の主成分はタンパク質ですので、肉、魚、大豆製品などを積極的に摂取しましょう。また、タンパク質の合成を助ける亜鉛や、頭皮の血行を促進するビタミンE、細胞の成長をサポートするビタミンB群なども重要です。緑黄色野菜や海藻類、ナッツ類などを日々の食事に取り入れ、偏りのない栄養摂取を心がけてください。 |
ストレス管理 | 過度なストレスは自律神経のバランスを乱し、血行不良を引き起こしたり、ホルモンバランスに影響を与えたりして、頭皮や毛髪に悪影響を及ぼす可能性があります。初期脱毛自体がストレスの原因になることもありますが、意識的にリラックスできる時間を作ることが大切です。趣味に没頭する、適度な運動を取り入れる、ゆっくりと入浴するなど、自分に合った方法でストレスを上手にコントロールしましょう。 |
対策2|頭皮環境を改善する(頭皮マッサージ・適切な洗髪)
健やかな髪を育むためには、その土壌である頭皮の環境を良好に保つことも欠かせません。頭皮環境を整えることは、初期脱毛の期間だけでなく、長期的なAGA治療の効果を高める上でも役立ちます。
頭皮マッサージは、血行を促進し、毛母細胞へ栄養を届けやすくする効果が期待できます。指の腹を使って、頭皮全体を優しく揉みほぐすように行いましょう。爪を立てたり、強く擦りすぎたりすると頭皮を傷つけてしまう可能性があるため、力加減には注意が必要です。
また、毎日の洗髪方法を見直すことも大切です。洗髪は1日1回を目安に、ぬるま湯で予洗いをした後、シャンプーをしっかりと泡立て、指の腹で優しくマッサージするように洗いましょう。すすぎ残しは頭皮トラブルの原因になるため、時間をかけて丁寧に洗い流すことが重要です。シャンプーは、アミノ酸系など頭皮への刺激が少ないタイプを選ぶのも良いでしょう。
対策3|自己判断で中止せず担当医に相談する
初期脱毛の症状が予想以上に強く出たり、長引いたりすると、不安から治療の継続をためらってしまうかもしれません。しかし、ここで最も重要なのは、自己判断で治療薬の使用を中止しないことです。
初期脱毛は治療効果の現れである可能性が高く、この時期を乗り越えることで新しい毛髪の成長が期待できます。自身の判断で対処するのではなく、まずは治療を受けているクリニックの担当医に速やかに相談しましょう。
医師は患者さん一人ひとりの状態を正確に把握し、初期脱毛の状況が一般的な範囲内なのか、あるいは何か別の要因が考えられるのかを判断し、適切なアドバイスをしてくれます。場合によっては、薬の量や種類の調整など、専門的な観点から必要な対応を検討してくれるはずです。
初期脱毛が起こる可能性のあるAGA治療薬
ここでは、初期脱毛が起こる可能性のあるAGA治療薬のなかで、主に使用されることの多い薬剤を3つ紹介します。ただし、初期脱毛の有無やその程度は、使用する薬剤の種類や個人の体質によって大きく異なります。
抜け毛予防薬①|フィナステリド

フィナステリドは、AGAの主な原因物質であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制することで、抜け毛を予防し、AGAの進行を遅らせる効果が期待できる内服薬です。フィナステリドは、男性ホルモンの一種であるテストステロンをDHTに変換する酵素「II型5αリダクターゼ」の働きを阻害します。
この薬は直接的に発毛を強く促すというよりは、抜け毛の進行を抑えることで毛髪の状態を維持・改善する働きが主です。そのため、ミノキシジルほど顕著ではないものの、ヘアサイクルが徐々に正常な状態へと移行する過程で、弱っていた毛髪が一時的に抜け落ちるという形で初期脱毛が報告されることがあります。
参考:KEGG「フィナステリド」
抜け毛予防薬②|デュタステリド

デュタステリドもフィナステリドと同様に、DHTの生成を抑制することで抜け毛を防ぐ内服薬です。デュタステリドは、フィナステリドが阻害する「II型5αリダクターゼ」に加えて、「I型5αリダクターゼ」というもう一つの酵素の働きも阻害するため、より広範囲にDHTの生成を抑える効果が期待されています。
この作用により、乱れたヘアサイクルを正常化させる過程で、フィナステリドと同様に初期脱毛が起こる可能性があります。デュタステリドの作用はフィナステリドに比べて強力とされているため、一部の方では初期脱毛を体感することがあるかもしれませんが、これも個人差が大きく、必ずしも全ての人に強く現れるわけではありません。
参考:KEGG「デュタステリド」
発毛促進薬|ミノキシジル(外用・内服)

ミノキシジルは、発毛を促進する効果が認められている代表的なAGA治療薬で、外用薬(塗り薬)と内服薬(飲み薬)があります。外用薬、内服薬のいずれの使用においても初期脱毛の可能性はあり、その期間や抜ける量には個人差が見られます。
ミノキシジルは、毛包に直接作用し、血行を促進したり毛母細胞を活性化させたりすることで、毛髪の成長を促す効果が期待できます。この働きかけにより、休止期にあった古い毛髪が新しい毛髪に押し出される形で抜け落ちるため、比較的初期脱毛が起こりやすいです。
しかし、この反応はヘアサイクルがリセットされ、より健康で太い髪の毛が生えてくるための準備段階と考えることができるでしょう。
参考:KEGG「メディカルミノキシジル5%」
まとめ|初期脱毛でスカスカになるのが怖い方はフィナステリドがおすすめ
AGA治療における初期脱毛は、治療薬が効果を発揮している証拠であり、新しい健康な髪への生まれ変わりを示す自然な現象です。通常は治療開始から数週間で始まり、1~3ヶ月程度で落ち着きます。
ミノキシジルは発毛促進効果が高い一方で、休止期の髪を成長期に移行させる際に比較的強い初期脱毛が起こりやすい傾向があります。そのため、一時的に髪がスカスカになることへの不安が強い方には、脱毛抑制作用を持つフィナステリドでの治療開始をおすすめします。フィナステリドは初期脱毛が起こりにくく、段階的にAGAの進行を抑えることができます。
より強力な脱毛抑制効果を求める場合にはデュタステリドという選択肢もありますが、まずはフィナステリドから始めて効果を確認することが一般的です。
初期脱毛の程度や期間には個人差があるため、症状がひどい場合や長期間続く場合は、自己判断で治療を中止せず、必ず担当医に相談することが重要です。適切な生活習慣の維持と頭皮ケアを心がけながら、医師と連携してフィナステリド治療を継続していくことで、理想的な発毛効果を得られるでしょう。
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